私には天敵が3人いる。
レーサー専門のプロ、大西 靖。F1でスピード物体を速写する有数のカメラマンで、動物のハンテング等は実に見事に
カメラに収める。
そして鍛冶兄弟。元記者で、航空
写真を的確に写す。
さらに今回偶然に出会ったのは、医師で、癒しを求める患者さんの回復に役立つ写真を撮り続けている、井上 冬彦。
毎年大西ご夫妻とはマラのロッジで会う(日本で会う機会より多い)。そして私の
誕生日が8月なので、アフリカにて祝って頂いている。またこの時期はヌーの川渡りの最も多い時期なのだ。
今回は久しぶりで井上さんにマラセレナのロッジで出会う。
その前日の早朝。
まだ太陽が昇る前に、タンザニア国境に近いムニマタツ(スワヒリ語で三つの山の意味)の方向に向かった頃、シマウマとヌーの群れは少し見るにとどまった。
地平線は厚い雲に覆われて、太陽の顔はまだだった。私たちはチャイニーズの丘とは別の丘へと向う。
チャイニーズとは私たちが付けた名称だ。
3年前に
中国のカメラマン6名ぐらいがマラ川に来ていたのだが、その時ヌーの大群が川を渡ろうとその対岸に控えているのにもかかわらず、獣道(渡り終えたヌーたちが上る道)に三脚を立てて、全員思い思いに車から外に出て待機していた。これではヌーは警戒して渡ることが出来ない。本人たちは
サバンナが初めてだろう、お揃いの
ユニホームに
背中には「中国電影隊」と記されてあった。私たちも相手の
ドライバーに何回か忠告したが聞き入れてもらえず、止むを得ずレンジャーに報告し、全員車内に入れたのだった。が、その時既にあたりは薄暗くなり、ヌーの集団は後戻りして行った。翌日早朝からは中国人達は車内でおとなしくヌーの来るのを待っていた。
見晴らしのよいその丘で一面を観察したが動物は見えない。
日の出も雲が厚く太陽を遮る感じで、写すのに面白くはなく、朝の撮影を半ば諦めていた、その時――。
ドライバーのブライソンが、マラ川から砂塵が大きく舞い上がるのを
双眼鏡で見たのか、
「ニュンブー、クロス リバー! ハラカ ハラカ!トウェンディー!」
(ヌーが川渡りをしている!早く、早く!急ごう!)
ガタガタに揺れる車内で、車上に置いてあった
ハイビジョンカメラ、それにカメラ3台を遠藤と必死で押さえながら、砂塵の舞い上がる地点に車を走らす。
7分ぐらいで川岸に着く。
厚い地平線の雲の上に太陽が少しずつ顔を覗かせ、湧き立つ砂塵を通して光がヌーの角に当たるのが黒光りして圧巻だ。川を覗くと、飛び込む水の音と、ヌーの隊列は手前の岸から走り上がり、隊列が黒い太い線になったように見える。
約1時間は私たちの車1台のみしかおらず、その後対岸に2台が見えた。ロッジで朝食を済ませて徐々に数台の車が私たちの車の近くに来たとき、渡りは既に終わり、対岸に渡りをためらう数千頭のヌーが居たのみだった。
助手の遠藤もかなり迫力ある写真を捉えた。
その夜ロッジでモニター映像を井上さんに見せて情報提供した。
翌朝、私たちは今度はチーターを撮影にと考え、マラ川沿いに車を走らせていた。対面から井上さんの車とすれ違った。
posted by あべしょー at 16:14| 岩手

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